親だけが持つ子供に期待する気持ち それは苦労して、お金をかけて育てたことへの見返りを期待しているのかもしれません
人生で他人に期待した事ってありますでしょうか?
私の経験を振り返ると、会社の後輩に期待したことはあります。仕事を覚えてもらって、自分の部署の仕事を一人分背負って欲しいからでした。
応援する選手には、スーパープレーや大記録を見せて興奮させてもらいたいです。
あと親切なことをしたら、ありがとうと言って欲しいですね。
どれも見返りを求めていますね。
期待ってのは大半が見返りを求めた行為なのではないかと思います。
そして、他人に期待することって、めったに無いのではないでしょうか。
ですが、親はどうしても子供に期待してしまうものです。
子供にはいい大学に入って欲しい、いい会社に入って欲しい。
ですが、友人にそういったことを期待するのは馬鹿げています。自分の子供にだけ期待をします。
それは、一生懸命子供の世話をし、服や食べ物を与え、高校・大学の学費・場合によっては生活費まで面倒を見ているからではないでしょうか。
実は、子供が生まれた瞬間、いい大学・会社なんてこれっぽっちも期待していなかったのではないでしょうか。
子供がただ笑うだけで、寝返りをうつだけで、初めての言葉を発するだけで、多くの親は幸せを感じていると思います。
それが夜泣きに起こされ、一生懸命お世話をし、高いゲームやスマホを買ってあげたり、高校・大学に行かせてあげる事になります。
親は莫大な労力と金額を”投資”して子供を育てている訳です。
だから”投資”に対する見返りが欲しくなるのではないでしょうか。こんなに苦労して、こんなにお金をかけたんだから、こうあって欲しい。
親は子供に色々と口を出すものです。
ですがそれは、心配だから言っているのでしょうか、それとも期待からでしょうか。
期待をかけ過ぎるのは止めた方がいいかも知れません。
子供は、親の期待に答える気なんて全くありませんし、実は答える義務もありません。
あんなに高い学費を出して大学に行かせたのに、勉強もしないで遊んでばかりいる、留年した、就活は落ちてばかりだ。
残念ですが、投資を失敗したのかもしれません。ちゃらんぽらんで、ビジョンのない詐欺師みたいな企業に、プレゼンも受けずに投資してしまったのです……。
現代の若者のほとんどは学問をしようと大学を目指していません。大学を出た方が就職に有利と言う面もありますが、大多数は”モラトリアムを過ごしたい”からで間違いないでしょう。
親御さんだって、何でも良いから大学を出させたいという気持ちを持っている方は多いですよね。
それと大学でモラトリアムを過ごしたいと言う子供の利害が一致したために起こる、非常にいびつな社会の闇ではないかとも思います。(あとは大卒優遇という社会の風潮など)
改めてお金に注目すると、大学の学費だけで4年間で何百万円、私立に行かせたり仕送りまでするなら何千万円の大金がかかるでしょう。
私は子供はいないのですが、将来、子供を進学させる時が来たら、投資の前に”審査”をしようと思いますし、親御さんにもオススメします。親も子供も数百万、数千万円の出費をもっと真剣に考えるべきではないでしょうか。
中学2年生くらいで高校に行きたいか、なぜ行きたいのかを聞きましょう。
理由は、周りもみんな行くから、行くのが当たり前だから、成績が良いから、と言った予想です。
そこで、高校からは義務教育じゃないこと、お金がかかることを教え、一年後までに進学したいという強い意志と説得力のある理由をプレゼンしてもらう事にします。
ここで説得されないとお金は出さないと言うことですね。
その歳で、進学の強い意志と理由が考えられれば、期待以上というわけです。
まだいもしない子供に期待してしまいました。しかし期待を上回ってもらってから投資をするのですから、大失敗するリスクは減らせるかもしれません。
私の経験ではありますが、将来のビジョンを若いうちから考える事は大学に行くことよりも大事であると確信しています。
私はなまじ成績は良く、将来のビジョンがないままモラトリアムで大学に行きました。興味もないのに、就活に有利な学部を選びました。給料の良い会社にも入社できたのですが、仕事は面白くありません。
そこで人生の意味、幸せとは何か、何を仕事にするか、と言ったことを考え直すことになりました。
大学なんて出ていなくても、高校を出た時点で人生のビジョンや、将来やりたい仕事をある程度考えている人をとても尊敬しています。
私は社会人になってから、何となく生きることを止め、レールに乗って生きることを止め、人生の軌道修正を図りました。
中学・高校を卒業し、進路を決めるときに、朧気でもそういった何かを真剣に考えられる子供になって欲しい、育てたいと思います。
期待という話に戻しますが、私の尊敬する祖母が「勉強なんてできなくても、人に迷惑をかけずに生きていたらそれでいい」と言っていたことを良く覚えています。
つまり、ほとんど期待していない訳ですね。
祖父母は孫に対して責任がないので、労力をかけて世話をすることも無ければ、大金を出すことも無いという見方もできます。
祖母も、孫ではなく子供には、色々な期待を押し付けて、口酸っぱくあれこれ文句を言っていたのかもしれません。
ですが、もしかしたら孫が生まれて、子供に最初は何も期待していなかった気持ちを思い出したのかもしれません。
笑顔でいるだけで、言葉を発するだけで、生きているだけで素晴らしいという瞬間を、もう一度実感したからかもしれません。